クソじじい、言われて嬉しい、六十代。
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昔、香椎川沿いに【MIMATSU Specialty Coffee Roaster】という大好きな店があった。


週に何回も夜な夜な通ってたカフェ。そこにある日店主であるケンジ君の愛猫が現れるようになったのだ。


元々は家で飼ってたのかな。店にいる時間が長いってことで店に連れて来たんだったかな。

愛猫の名前は、ペヤング。店内を堂々と闊歩している猫。ソファの上で昼寝したり、カウンターに乗ってきたり。


僕、猫が苦手でねぇ。

高校の時、高松君という同級生の家にいた猫が、タンスの上から僕に飛びかかって来たのがトラウマになってて。まあ元々猫がなんとなく苦手だったので相手もそれを察知して攻撃してきたんだろうね。


それ以来、夜に帰宅する時なんか、玄関のあたりに野良猫がゴゾゴゾってしようものなら、玄関に入るまでに一人で大騒ぎしていた。

大きな音や声を出して猫を脅かして追い払ってから、サッと家に入る。それくらい苦手だった。
 

それがさぁ、大好きなカフェに店主の愛猫とはいえ、ほぼ毎日店内に猫がいるのよ。

かといって、自分の生活の中でなかなかの居場所になってるカフェだったから、「猫がいるからもう来ない」ってなるわけにもいかず。


さらには好きな店主の愛猫よ。嫌いになれるわけないよね。

ケンジ君に「これ、噛みつかない?飛びかかって来たりしない?」とか聞いてみたり。答えは「しませんよ。大丈夫ですよ」とだけ。

そりゃそうだよね。飼い主には何もしないよね。 


「俺にはするかもしれんやん」と意味のない反論をしてみたり。

どちらにしろ、苦手なままではいられない。何十年か逃げて来た猫という生物と戦う時が来たと覚悟を決めた48歳だった。


ケンジ君に相談して猫に好かれるコツを伝授してもらったり、キャットフードを買って来て餌付けしたり。そりゃ僕としては精一杯の歩み寄りだった。


そのうち、前足を僕の膝の上に乗せて、手渡しで餌を食べてくれるようになって来た。だんだんと心を許してくれるペヤングに会いにいくのが【MIMATSU Specialty Coffee Roaster】の楽しみにもなってた。

そして分かったこと。
 

本気で変わろうとしない限り人は変われない。でもちょっとしたキッカケで本気になる時があるってこと。


ちなみに、ペヤングは僕が友達になれたと思い出して数ヶ月後、交通事故に遭い亡くなってしまったんだけど・・・。9年前の6月のことでした。時々思い出すのよね。


僕を変えてくれたペヤングの話でした。

今じゃ俺、すっかり猫好きになって、その辺を歩いてる野良猫を追っかけ回してるよ。 




上の写真は僕が最後に撮ったと思われるペヤングの写真。

下の写真は、ペヤングの家(猫小屋)の上に置かれたペヤングファンの方が持ってきてくれたお花。その横にその日僕が鹿児島出張で買って来た薩摩揚げも供えてもらっていた。


ちなみに現在この場所がケンジ君の弟子のケンゴ君がオーナーをしてる【珈琲小林】になっているのです。


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店名:MIMATSU Specialty Coffee Roaster(美松コーヒーストア)
住所:福岡市東区香椎駅前2−2−6
※現在はこの場所には昔の面影を残したまま【珈琲小林】が営業しています。







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■プロフィール
上野万太郎/僕がどこかで誰かと生きていたという記録。《食》との出会いは《人》との出会い。

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■著書:「福岡カフェ散歩」「福岡のまいにちカレー」

「福岡のまいにちカレー」(2014年4月)
福岡で毎日カレーを食べながら48店をカメラを持ってオーナーさんをインタビュー。カレーの数だけ物語がありました。

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「福岡カフェ散歩」(2012年12月)
福岡のカフェ54店を取材。オーナーさんの熱い想いを伝えたい。

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■欲望おにぎりとよろこび丼
2020年12月23日、長女がレシピ本居酒屋店長特製の欲望おにぎりとよろこび丼を出しました。

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