クソじじい、言われて嬉しい、六十代。

あの男が再び博多に現れた。四国の機械屋の営業マン30歳である。

一昨日まで千葉の現場で1ヶ月近く単身赴任。新婚の嫁さんを四国に残し相変わらずの出張営業生活のようだ。昨夜は1泊だけ四国の会社に帰り、今日博多にやって来た。ちなみに明日は鹿児島の果て、明後日はうちの宮崎営業所に機械の据え付け立ち会いということらしい。

打ち合わせをした後、御館様達と一緒に近所の行きつけのモツ鍋屋に行った。食べる食べる。しかも飲む飲む、そして飲む、さらに飲む。その間、「うちの機械はすばらしいんです。うちの機械をよろしお願いします」と何回いや何十回聞かされたことか。酔っ払っていても寝言か呪文ように言い続ける。
御館様のフックやストレートやボディやローキックや頭突き、さらに目突きや金的攻撃に対して、ガードもせずに真っ正面から受け止めても倒れなかった。そして最後には御館様と熱く抱き合った。こんな男、初めて見た。とんでもなくすごい奴かドアホウな男だ。

さんざん食べてガンガン飲んだ後に、前回の来福で大好物になったという魁龍ラーメンに行き、ラーメンとおにぎり、さらに替え玉を「うまいっすねえ、魁龍最高すねえ!」と平らげた。この間も会社のことばかり語っている。俺に「ラーメン延びるぞ」と怒られながらも、会社や仕事に対する情熱を語りだしたら止まらない。こいつ、うなされとるんかと思った。

あの男 ホテルに送って行った。俺がホテル前で降ろした後、俺の車がホテルの先の赤信号に止まり青になって曲がって見えなくなるまでじっとホテルの前に立って見送っていた。 酔っぱらってヘオヘロなのに。
こんなサラリーマン見たことない。こんな営業マンならダマされてもいいと思った。

彼の夢は政治家らしい。俺、1票入れずにはいられない。

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■プロフィール
上野万太郎/僕がどこかで誰かと生きていたという記録。《食》との出会いは《人》との出会い。

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■著書:「福岡カフェ散歩」「福岡のまいにちカレー」

「福岡のまいにちカレー」(2014年4月)
福岡で毎日カレーを食べながら48店をカメラを持ってオーナーさんをインタビュー。カレーの数だけ物語がありました。

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「福岡カフェ散歩」(2012年12月)
福岡のカフェ54店を取材。オーナーさんの熱い想いを伝えたい。

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■欲望おにぎりとよろこび丼
2020年12月23日、長女がレシピ本居酒屋店長特製の欲望おにぎりとよろこび丼を出しました。

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